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有機化学2017.07.14

生分解性ポリマー:多木化学独自の合成技術による新しい高分子量素材

生分解性ポリマー

これまで試薬として販売していた低分子量タイプ以外に多木化学の独自の合成技術で新しい高分子量素材を開発しました。
本カタログは、各種ポリマーの代表品種のみを記載しておりますので、ご要望されるポリマーについてご相談下さい。
ご要望に沿って、分子量、組成、他条件等を調整したポリマーを合成します。
尚、これら試薬は、全て一般研究用、及び実験動物を用いる研究にのみ販売しております。

高分子量ポリマー製品情報

トリメチレンカーボネート系ポリマー
種類と物性
品種 外観 平均分子量 融点(℃) ガラス転移温度(℃) 分解性
T-100 微黄色固体 400000 -14 溶解型
TL-70 微黄色固体 100000 -5 溶解型
TL-50 微黄色固体 100000 10 溶解型

[略号]
T:トリメチレンカーボネート L:(L)ラクチド、DL:(DL)ラクチド、G:グリコリド

TL-70 トリメチレンカーボネート・(L)ラクチド共重合体、
70、トリメチレンカーボネート含量70mol%
TLG-442 トリメチレンカーボネート・(L)ラクチドーグリコリド共重合体、
442、トリメチレンカーボネート:(L)乳酸:グリコール酸=40:40:20(mol%)
試薬容量 5g 20g
価格 36,000円 96,000円
構造式
特徴・性状
  • トリメチレンカーボネート系ポリマーは、生体内分解性材料として外科用縫合糸に使用される生体適合材料である。
  • 溶融成形可能である。
  • ポリマーの分解状態は、ポリ(L)乳酸のように分解に伴って細片化せず、表面から溶解する。分解速度はトリメチレンカーボネイト含量に影響され、50%で最大に達する。
  • トリメチレンカーボネート含量30~100%の範囲でエラストマー性を有し、剛性で高強度のポリマーから柔軟性のあるものまで性状が変化する。
  • 分解性に優れたポリマーとして、ラクチドのラセミ体を使用したTDLシリーズ、トリメチレンカーボネートとラクチドおよびグリコリドの3元共重合体であるTLGシリーズがある。使用目的により機械的物性および分解速度を制御できる。
用途

外科用補綴材料、外科用移植片 DDS用担体等の医療用材料 その他

分解性:37℃、リン酸緩衝生理食塩水での浸漬試験
溶解性

クロロホルム、アセトン、塩化メチレンに可溶
水、メタノール、エーテルに不溶

ポリエチレングリコール系ポリマー
種類と物性
品種 外観 平均分子量 融点(℃) ガラス転移温度(℃) 膨潤度
EL-40 粉末 10000 114 -12 0.8
EL-80 ワックス 6000 35 -2 溶解
EDL-50 ワックス 10000 30 -6 1.7

*)膨潤度:蒸留水(37℃)中での吸水重量比。
[略号]
E:ポリエチレングリコール
L:(L)ラクチド、DL:(DL)ラクチド、T:トリメチレンカーボネート

EL-80 ポリエチレングリコール・(L)ラクチド共重合体、
80:エチレンオキシド含量80mol%
EDL-50 ポリエチレングリコール・(DL)ラクチド共重合体、
50:エチレンオキシド含量50mol%
試薬容量 5g 20g
価格 36,000円 96,000円
構造式
特徴・性状
  • ポリエチレングリコール系ポリマーは親水性が付与された生分解性ポリマーである。
  • ポリマー中のエチレンオキシド含量が増加するにしたがって親水性が増し、水に膨潤する。
  • ELシリーズは粉末状から常温で軟化、液状化するものまで性状が変化し、他の薬剤等との混合が容易である。
    また、親水性薬剤との親和性にも優れており、徐放性薬剤の担体として適している。
  • 分解に伴って表面から溶解する。
  • 分解性に優れたポリマーとして、ラクチドのラセミ体を使用したEDLシリーズがある。
    また、ポリエチレングリコール・トリメチレンカーボネート共重合体(ETシリーズ)は、ELシリーズと比較して接着性が少ない。
    エラストマータイプとして、ポリエチレングリコール・トリメチレンカーボネート・ラクチド共重合体
    (ETLシリーズ)がある。
  • 使用目的に応じて、機械的物性および分解速度を制御できる。
用途

外科用補綴材料、外科用移植片 DDS用担体等の医療用材料 その他

分解性:37℃、リン酸緩衝生理食塩水での浸漬試験
溶解性

クロロホルム、アセトン、塩化メチレンに可溶
メタノール、エーテルに不溶
組成により水に溶解する。

ジオキサノン系ポリマー
種類と物性
品種 外観 平均分子量 融点(℃) ガラス転移温度(℃) 分解性
DXL-5 白色粉末 40000 122 37 崩壊型
DXL-15 柔軟な固体 10000 30 崩壊型

[略号]
DX:ジオキサノン、L:(L)ラクチド

DXL-5 ジオキサノン・(L)ラクチド共重合体、
5:ジオキサノン含量 5mol%
DXL-15 ジオキサノン・(L)ラクチド共重合体、
15:ジオキサノン含量 15mol%
試薬容量 5g 20g
価格 36,000円 96,000円
構造式
特徴・性状
  • ジオキサノン系ポリマーは、生体内分解性材料として外科用縫合糸に使用される生体適合性材料である。
  • 溶融成形可能である。
  • トリメチレンカーボネート系ポリマーよりも強度があり接着性の抑制された
    ポリマーである。ジオキサノン含量により剛性からエラストマーまで性状が変化する。
用途

外科用補綴材料、外科用移植片 DDS用担体等の医療用材料 その他

分解性:37℃、リン酸緩衝生理食塩水での浸漬試験
溶解性

クロロホルム、アセトン、塩化メチレンに可溶
水、メタノール、エーテルに不溶

ラクトン系ポリマー
種類と物性
品種 外観 平均分子量 融点(℃) ガラス転移温度(℃) 分解性
CL-20 半透明固体 50000 116 18 崩壊型
CDL-20 半透明固体 100000 50 -4 溶解型
CLG-244 半透明固体 50000 5 溶解型

[略号]
C:εカプロラクトン、L:(L)ラクチド、DL(DL)ラクチド、G:グリコリド
B:δプチロラクトン、M:βメチル-δバレロラクトン、
P:βプロピオラクトン

CLG-244 εカプロラクトン・(L)ラクチド・グリコリド共重合体、
244、εカプロラクトン:(L)乳酸:グリコール酸=20:40:40(mol%)
試薬容量 5g 20g
価格 36,000円 96,000円
構造式
特徴・性状
  • ラクトン系ポリマーは、生体内分解性材料として外科用補綴材料に使用される生体適合性材料である。
  • 溶融成形可能である。
  • カプロラクトン含量10~40%の範囲でエラストマー性を有し、高弾性で塑性変形の抑制されたポリマーから
    柔軟性に優れたものまで性状が変化する。
  • 分解速度はカプロラクトン含量に影響される。
  • 分解性に優れたポリマーとしてラクチドのラセミ体を使用したCDLシリーズ、
    カプロラクトン・ラクチド・グリコリド共重合体であるCLGシリーズがある。
    この2つのシリーズはポリ(L)乳酸のように分解にともなって細片化せず、表明から溶解する。
    使用目的に応じて機械的物性および分解速度を抑制できる。
  • プチロラクトン系ポリマー、メチルバレロラクトン系ポリマー、プロピオラクトン系ポリマーは、
    ラクトン含量50%で、分子量2万程度のポリマーの合成が可能である。
用途

外科用補綴材料、外科用移植片 DDS用担体等の医療用材料 その他

分解性:37℃、リン酸緩衝生理食塩水での浸漬試験
溶解性

クロロホルム、アセトン、塩化メチレンに可溶
水、メタノール、エーテルに不溶

低分子量ポリマー製品情報

乳酸ポリマー
種類と物性
品種 外観 平均分子量 ガラス転移温度(℃)
L 液状~粉末 500~5000 -10~56
DL 液状~粉末 500~5000 -14~51
D 液状~粉末 500~5000 -10~51

[略号]
L:(L)乳酸、(DL)乳酸、D:(D)乳酸

L (L)乳酸ポリマー
DL (DL)乳酸ポリマー
D (D)乳酸ポリマー
試薬容量 5g 20g
価格 24,000円 64,000円

ご注意下さい) 開環重合により製造する場合は、高分子ポリマーの価格となります。

構造式
特徴・性状
  • ポリ乳酸は、生体内分解性材料として使用される生体適合性材料である。
  • 直接脱水重縮合で合成するため、原料以外の混入がない。
  • (L)乳酸、(D)乳酸および(DL)乳酸の組み合わせにより組成の異なる共重合体がある。

(使用目的に応じて平均分子量8000~100000のポリマーの合成が可能)

溶解性

クロロホルム、塩化メチレン、ベンゼン等に可溶
分子量によりメタノール、エタノールにも分散する。

乳酸-グリコール酸ポリマー
種類と物性
品種 外観 平均分子量 ガラス転移温度(℃)
LG-80 ペースト~粉末 500~5000 -10~56
LG-50 ペースト~粉末 500~5000 -14~40
LG-30 ペースト~粉末 500~5000 -10~35

[略号]
G:グリコール酸、L:(L)乳酸、DL:(DL)乳酸、D:(D)乳酸

LG-80 (L)乳酸・グリコール酸共重合体、80:(I)乳酸含量 80mol%
試薬容量 5g 20g
価格 24,000円 64,000円

ご注意下さい) 開環重合により製造する場合は、高分子ポリマーの価格となります。

構造式
特徴・性状
  • 乳酸・グリコール酸共重合体は、生体内分解性材料として使用される生体適合性材料である。
  • 直接脱水重縮合で合成するため、原料以外の混入がない。
  • (L)乳酸、(D)乳酸、(DL)乳酸を使用した組成の異なる共重合体がある。

(使用目的に応じて平均分子量8000~100000のポリマーの合成が可能)

溶解性

クロロホルム、塩化メチレン、ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解。
グリコール酸含量が増加するに従って溶解する溶媒の種類が減少する。

ラクトン系ポリマー
種類と物性
品種 外観 平均分子量 ガラス転移温度(℃)
BG 粉末 1000~3000 10~20
VG ペースト~粉末 2000~5000 -30~10
CG ペースト~粉末 2000~5000 -40~0
VL ペースト~粉末 1000~3000 -30~-20
V-100 ワックス 2000~4000

[略号]
B:δプチロラクトン、V:δバレロラクトン、C:εカプロラクトン、L:(L)乳酸、G:グリコール酸

BG Yプチロラクトン・グリコール酸共重合体
V-100 δバレロラクトンポリマー、100:δバレロラクトン 100mol%
試薬容量 5g 20g
価格 24,000円 64,000円

ご注意下さい) 開環重合により製造する場合は、高分子ポリマーの価格となります。

構造式

y=3 Yプチロラクトン R=H グリコール酸
y=4 δバレロラクトン R=CH3 乳酸
y=5 εカプロラクトン

特徴・性状
  • ラクトン系ポリマーは、分解性材料である。
  • 直接脱水重縮合で合成するため、原料以外の混入がない。
  • VGシリーズ、CGシリーズには、ラクトン含量が10~50%のポリマーがあり、ペーストから粉末まで性状が変化する。
  • VLシリーズには、ラクトン含量が10~85%のポリマーがあり、ペーストから粉末まで性状が変化する。
溶解性

クロロホルム、塩化メチレン、ベンゼン等に可溶
エーテル、メタノールに不溶

商品の取り扱いについて

納期

原則として受注生産になりますので納期は、受注後3週間程度必要とお考え下さい。

取り扱い上の注意

生分解性ポリマーは、分解により酸性を呈します。
誤って目に入った場合は、すぐに水道水で洗い、専門医の診断を受けてください。
手足に付いた場合は、水道水でよく洗浄してください。異常がある場合は、
医師の診断を受けてください。

貯蔵・保存方法

ポリマーの加水分解を抑制し品質を保持するため10℃以下で貯蔵して下さい。
使用時には品温を室温まで戻した後、開封してご使用下さい。
一度開封した物は、完全密封し10℃以下の暗所にて保存し早期に使い切って下さい。

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